研究課題/領域番号 |
16017261
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
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研究分担者 |
白井 康仁 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助教授 (60263399)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
2005年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2004年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | ファゴサイトーシス / プロテインキナーゼC / GFP / イメージング / 活性酸素 / Rac / マクロファージ / 活性酵素 |
研究概要 |
貪食細胞での微生物の殺菌は、Noxの細胞膜成分(cytochromeb558)と4つ細胞質成分(p47phox,p67phox,p40phox,Rac)により構成されるNADPHoxidase(Nox)に由来する活性酸素種により行われる。本研究は、この厳密に制御された活性酸素産生の分子機構を、機能蛋白質特にPKCおよびRacに焦点を当て、リアルタイムで可視化することにより解明することを目的とした。【今年度の成果】(1)Rac分子種の貪食IgGビーズへの集積度に違いがあることを見出した(Rac1>Rac3>Rac2)。この違いは、C末側の塩基性配列(PB)の違いに依存することを、イメージング解析により示した。また、protein-lipid overlay assayにより、この領域に脂質結合特異性があることを示した。さらに、Rac分子種のPBを入れ替えたキメラ蛋白を用いることにより、各分子種のPBの活性酸素産生に果たす重要性を明らかにした。また、Rac2の活性型変異体(Rac(Q61L))の集積を観察すると、小胞体などの細胞内器官の膜に局在し、貪食時にそれらの小器官膜が線状に貪胞膜へ癒合するのが観察された。(2)GFP融合PKCを貪食細胞に発現させIgGビーズを貧食させると、7種のPKC分子種の中beta I-PKCとepsilon-PKCのみが食胞に集積する。その結果、貧食時のepsilon-PKCの集積は、そのC1BドメインにPLC-gamma1経由で形成されるdiacylglycerol(DAG)が結合することにより起こることを明らかにした。【考察】(1)Rac1は貪食時にPBの高い正電荷とその脂質結合能を利用し食胞膜に集積する。Rac2はPBの正電荷を利用した弱い集積機序の他に、まず細胞内器官膜にターゲットし、この膜が貪胞膜に融合することを利用した、PBの正電荷に依存しない集積機序を持つことがわかった。これらのことから、3種すべてのRac分子種が活性酸素産生に関与する能力を有するが、マクロファージではRac1が、白血球ではRac2が優位に関与することが推察された。(2)同じC1BドメインをもつPKC分子種の中でも、特にepsilon-PKCが、貪食時食胞に強く集積することは、C1Bの脂質結合性の違いがPKCの分子種特異的シグナリングに重要な役割を果たしていることが推察された。
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