研究課題
特定領域研究
1.ヒト・マラリア原虫P.falciparumのV-ATPase C subunitのcDNAをクローン化した。このcDNAは酵母の相同遺伝子欠失株においてC subunit機能を相補した。マラリア原虫のcDNAが酵母のcDNAと相補することがわかったのはこれが最初であり、マラリア原虫V-ATPaseの機能解明に大きく前進した。この仕事はBBAに発表した。2.細菌からヒトまで普遍的に存在すると考えられる新しい薬剤耐性トランスポーター(multidrug and toxic compound extrusion, MATE)を発見した。このトランスポーターは細菌ではカチオン性抗菌物質を細胞外に排出するが、ヒトなどのほ乳類においては腎臓尿細管のアピカル部位や肝臓の微少胆管に存在しており、有機カチオン系の薬剤や代謝老廃物の排出を司っている。この他、代謝性の疎水性物質(例えば、性ホルモン類や脂溶性ビタミン類)の体内動態にも関与していると考えられる。この仕事はPNASに発表した。3.このMATE型トランスポーターの機能必須残基を決定した。MATE型トランスポーターは他のトランスポーターと異なりコンセンサス配列が存在しない。しかし、我々は900近くのゲノム・バンクに登録された配列よりその構造を推定した。関連業績はPNASに発表した。またTrends in Pharmacol.Sciに投稿中である。4.原虫類におけるこのトランスポーター遺伝子を解析した。関連業績はTrends in Pharmacol.Sciに投稿中である。5.特にP.falciparumにおけるMATE transporter遺伝子を同定しつつある。マラリア原虫の抗マラリア薬耐性を説明するトランスポーターと考えている。鋭意研究を進めている。
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