研究概要 |
HIV-1のコレセプター(CCR5,CXCR4)の第2細胞外ドメインの一部を構成するアーチ状の特殊立体構造(UPA, Undecapeptidyl Arch)を環状ドデカペプチドとして再構築し、CCR5をミミツクした抗原cDDR5-MAPを調製した。マウスにこの抗原を免疫すると、この抗原に対して立体特異的抗体を産生し、CCR5に特異的に結合し、さらに強い抗HIV活性を示した。さらに、得られた抗体は臨床分離株のR5及びX4ウイルス(clade A, C, E)の感染をもそれぞれに強く阻害した。 また、cDDR5-MAPをカニクイサルに免疫したのち、SHIV_<SF162P3>をchallengeし、本ワクチンのウイルス感染防止効果を調べた。まず初めに、SHIV_<SF162P3>をカニクイサルのPBMCで拡張・適合化を行い、challengeウイルスを調製した。カニクイサル6頭(♂)のうち、3頭にcDDR5-MAP(300μg inフロインドの完全アジュバンド200μL/1頭)を0及び1週目に腹腔に投与し、基礎免疫を行い、6週目に、同抗原(300μg inフロインドの不完全アジュバンド200μL/1頭)を皮下に注射して、追加免疫をした。免疫後、2週毎に、採血し抗体価をBIA-core法及びELISA法により測定した。追加免疫より5週目に、SHIV_<SF162P3>(10TCID_<50>)を静注して、challengeした。その後、0,1,3,4,6,10週目に採血し、Viral Load、抗体価、CD4及びCD8数を測定した。1週目の免疫群のViral Loadはコントロール群、数十億コピーに比べ、数百万コピーに低下し、強い感染防止効果が認められた。高い抗体価が追加免疫時から認められ、ウイルスchallengeから10週目(初回免疫より21週目)まで、維持されていた。
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