研究課題/領域番号 |
16017289
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
森 直樹 琉球大学, 大学院医学研究科, 教授 (10220013)
|
研究分担者 |
只野 昌之 琉球大学, 大学院医学研究科, 助教授 (80179712)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2005年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2004年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
|
キーワード | ウエストナイルウイルス / 神経細胞 / T細胞 / アポトーシス / TNF / TRAIL / Fas / Bcl / デングウイルス / 日本脳炎ウイルス / コアタンパク / NF-κB |
研究概要 |
蚊媒介性熱帯性ウイルスのうち、ウエストナイルウイルス(WNV)は脳炎や髄膜炎などの中枢神経障害をきたし、その病態には神経細胞死の関与が示唆されている。また末梢血リンパ球減少と脳炎患者の予後との関連も報告されている。しかしながら、WNV感染による神経細胞やT細胞の細胞死に関して、その分子機構は不明であり、本年度はその解明を試みた。WNV(NY99株、Eg101株、FCG株)は神経細胞株(SK-N-MC)に感染後、アポトーシスを誘導した。アポトーシスの誘導は時間およびウイルス量に依存していた。また、WNVはT細胞株(Jurkat)にも感染し、アポトーシスを誘導することを初めて明らかにした。なお、WNV株間の差はみられなかった。WNV感染後、神経細胞にはTNF-αの発現が誘導されたが、神経細胞はTNF-αではアポトーシスは誘導されなかった。さらに、WNV感染後の神経細胞の培養上清は神経細胞やT細胞にアポトーシスを誘導したが、培養上清を放射線照射すると、その活性は消失した。以上の結果、WNV感染による神経細胞のアポトーシスに、液性因子の関与はないと思われた。WNV感染後の神経細胞におけるアポトーシス関連タンパクの発現変化をウェスタンブロットにて検討したところ、Bcl-2やBcl-xLの発現低下およびBaxの発現亢進が認められた。一方、T細胞においては感染後にXIAPやsurvivinの発現低下を認めたことから、WNV感染による直接のT細胞傷害が考えられた。さらに、T細胞においてはTRAIL、Fas-L、TNF-αの発現誘導も認められた。これらTNFファミリーはT細胞にアポトーシスを誘導した。WNV感染T細胞の培養上清は、神経細胞およびT細胞にアポトーシスを誘導したが、培養上清を放射線照射すると、神経細胞へのアポトーシス誘導活性は消失した。一方、T細胞へのアポトーシス誘導活性は一部、残存した。以上の結果、T細胞アポトーシスには、WNV感染による直接の細胞傷害以外にWNV感染T細胞から産生されるアポトーシス誘導因子やT細胞相互の接触によるFasを介したアポトーシス誘導の可能性も示唆された。
|