研究課題/領域番号 |
16017291
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岡本 尚 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40146600)
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研究分担者 |
金澤 智 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (90347401)
朝光 かおり 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (20381783)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
2005年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2004年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | HIV / 転写制御 / Tat / NF-κB / ウイルス複製 / 阻害剤 / OGG1 / ゲノム情報保持 / IKK阻害剤 / AP-4 / 立体構造 / 計算化学 / HIV転写活性化 / RNA helicase A / 立体構造解析 / 分子モデリング / Bioinformatics |
研究概要 |
遺伝子発現プロフィール解析を用いてHIV転写活性化因子Tatによって制御される宿主細胞遺伝子を検索した。その結果、活性酸素によるDNA障害を修復する酵素OGG1がTatによって誘導されることを見いだした。OGG1遺伝子プロモーター領域中のTat標的配列を検索したところ、転写因子AP-4結合領域に一致した。この配列に変異を加えたところOGG1転写活性の上昇が見られ、Tatによる転写活性化作用は消失した。クロマチン免疫沈殿法を用いて検索したところ、通常状態でAP-4はOGG1プロモーターDNAと結合しているが、Tat発現に伴い、DNAから遊離した。免疫沈降・ウエスタンブロット法で、その際にTatがAP-4と結合することを見いだした。ゲノム上の酸化DNA修飾の結果生じる8-oxo-dGの量を定量したところ、細胞ゲノム中の8-oxo-dG量は、Tat発現によって著しく低下した。HIVウイルス複製に伴って細胞内活性酸素ROSの量が増加する事と考え合わせると、TatはあらかじめOGG1を転写誘導する事によって活性酸素によって生じるDNA傷害をあらかじめ防止していると考えられた。このことは、TatがHIV感染細胞において細胞及びHIVプロウイルスDNAの遺伝情報の維持に重要な役割を演じている事を示唆した。 他方、HIV潜伏感染細胞からのウイルス増殖の誘導に宿主転写因子NF-κBが主要な役割を演じているが、NF-κB活性化カスケードに関与するIKKに対する新たな阻害剤ACHPによるHIV複製誘導阻害作用を検索した。HIV潜伏感染細にTNFなどの炎症性サイトカインを投与するとNF-κBの活性化に続いてHIV複製が誘導されるが、ACHPは細胞障害性を生じる濃度よりはるかに低濃度でHIVの増殖を阻害した(IC50値が0.5μMであるのに対してCC50値は15μMであった)。この結果は、HIV感染者においてNF-κB阻害剤投与が潜伏感染細胞からのウイルス増殖を抑え、AIDS発症予防につながることを示唆した。
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