研究概要 |
DNAM-1(CD226)はCTLやNK細胞に発現する接着分子である。我々は最近DNAM-1のリガンドとしてPVRとPRR-2の2つの分子を同定した。DNAM-1リガンドの発現していないRMA細胞株とDNAM-1リガンドであるPVRまたはPRR-2を遺伝子導入し安定的に発現させたRMA細胞株をそれぞれマウスに接種すると、RMA細胞株は生着するのに対し、DNAM-1リガンドを発現したRMA細胞株は完全に拒絶された。この腫瘍拒絶は抗体投与によりCD8+細胞を除去すると阻害された。これらのことからCD8+キラーTリンパ球に発現するDNAM-1が腫瘍細胞に発現するリガンドを認識して拒絶に働いていると考えられた。一方で、DNAM-1はTリンパ球やNK細胞のみならずCD8+樹状細胞にも発現していることが判明した。 本研究では、DNAM-1リガンドを発現する腫瘍細胞に対するキラーリンパ球による拒絶の分子機構を明らかにすることを目的とした。とりわけ、樹状細胞に発現するDNAM-1のキラーTリンパ球の感作と誘導における役割に関して焦点を絞り、樹状細胞の成熟、活性化、抗原のクロスプレゼンテーション、およびヘルパーT細胞の分化、活性化におけるDNAM-1の役割について明らかにする。その結果、以下の結果が得られた。 1)CD8+樹状細胞に発現するDNAM-1を抗体で架橋すると、MHCクラスII,CD80,CD86,CD40などの発現が増加した。 2)1)において、樹状細胞からIL-12の分泌が亢進した。
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