研究概要 |
私達が見出したASC遺伝子(JBC,1999)はアポトーシス情報伝達の制御遺伝子そしてメチレーションで発現が低下する癌抑制遺伝子そして自然免疫・炎症の制御遺伝子(NOD系のRICKに対応)として示唆されている(Nature Review Immunology,2003,;Cancer Res,2000;Oncogene,2003他)。本研究の目的はASC遺伝子の欠失マウスを用いてその個体レベルでのASC機能を解析し、発癌あるいは癌進展との関わりを生体防御監視逸脱および薬剤耐性面から調べることであった。 ASC欠失マウスを作製し、個体レベルで、ASCがカスペース1の活性化に必須であること、カスペース1で活性化されるインターロイキン1β、インターロイキン18の産生に必須であることを証明し、ASCが自然免疫の初期反応に重要な役割果たすことを証明した。また、同マウスではエンドトキシンLPSによる急性の致死的障害が生じないことを明らかにした。ASC欠失のみでは発癌しないことから、発癌頻度の亢進あるいは癌の進展に対する影響を調べるためにAPC, p53欠失マウスなどとの掛け合わせが進められた。恐らく、ASCは発がんの促進、癌の進展に関与すると考えられる。ASCの蛋白質相互作用領域PYDにおける、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸で相互作用に重要な部位を同定した。 ASCのスプライシング変異体を見出し、その生物学的特質を解析した。また、ASCによるインフラマソームというスペック形成の機序解析のため、イオン濃度などの条件設定を検討した。
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