研究概要 |
新規のがん抑制遺伝子であるRB1CC1の細胞生物学的機構を明らかにすることによって、新しい細胞増殖抑制の経路、また、本経路破綻から生じる発がんの機構を理解することを目的として研究を行った。 これまでにRB1CC1結合分子として新規にhSNF5,Arkadia, GADD34,TSC1を同定した。hSNF5はp16を介しRB1機能を増強し、ArkadiaはSmad7を分解することによってTGF-b経路を増強する。初期実験のデータはRB1CC1がこれら両者との結合を介し細胞増殖を抑制している所見であるが、現在この経路の詳細を明らかにしている。 また、RB1CC1とGADD34の結合はGADD34による細胞死の調整をしているが、これがAkt-mTOR-S6Kの経路の調整と関連していることも解ってきた。この経路は同時にRB1CC1,TSC1両者の結合とも協調しながらmTOR-S6Kの調整を行い、細胞死の制御も行っている。現在、RB1CC1を切り口としたこの経路の詳細について、特に注目して研究を遂行中である。
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