研究課題
特定領域研究
(I)発がんにおける突然変異の原因として外的な化学的・物理的要因が従来重視されてきたが、これらが生体で実際にがんに導く突然変異を誘発しているのか、最近の報告からは疑問視されている。逆に内在的な突然変異因子と外的因子の相互作用が注目を浴びはじめてきた。その内的因子のひとつであるAIDのトランスジェニックマウスではTリンパ腫と肺がんが生じるが、それらのため早期に死亡し、他の組織での発がんが検討できない。この問題を解決するため、AIDの発現を時間空間的に制御可能なトランスジェニックモデルを作成した。Creリコンビナーゼの働きによりAID発現のスイッチが恒久的に入るトランスジェニックマウスを作成した。これとBリンパ球、神経、精巣のそれぞれに特異的なCreの発現を示す3系統のトランスジェンニックマウスと交配することにより、該当臓器におけるAIDの過剰発現をみるマウス系統を樹立した。これらのマウスのAID発現臓器にがんが生じるかどうか観察を開始した。また、タモキシフェンによりAIDの活性を制御しうるAID-ER-GFPトランスジェニックマウスを得た。(II)AIDの作用機序に関する研究から、AIDによるクラススイッチ組換え誘導にはウラシルDNAグリコシラーゼの酵素活性は不要であることを示し、AIDの基質がDNAであるとする仮説と矛盾する結果を得た。
すべて 2005 2004
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