研究課題/領域番号 |
16021258
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
李 康弘 財団法人冲中記念成人病研究所, 主任研究員 (10261405)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 肺発がん / マウス / 耐性 / 遺伝子 / トランスジェニック / ウレタン / Poli |
研究概要 |
マウスPoli(DNA polymerase t)は18番染色体上に存在する肺発がん耐性遺伝子座Par2(Pulmonary adenoma resistance 2)の候補遺伝子である。Poliの過剰発現がウレタン誘発発がん感受性に及ぼす影響を調べるため、肺特異的発現プロモーターの下流にPoli cDNAを連結した外来遺伝子をマウス受精卵に注入し、Poliトランスジェニックマウスの作製を試みた。 マウス肺腫瘍の殆どは肺胞2型上皮細胞より発生するものと考えられている。従って、肺胞2型上皮細胞で特異的に発現するヒトsurfactant protein C遺伝子のpromoterの下流にPromega社PCI vector由来のchimeric intron、C57BL/6マウス肺よりクローニングしたPoli cDNA、SV40 late polyA signalをこの順に連結した組換えPoli遺伝子を作製した。定法によって組換え、Poli遺伝子をBALB/cマウス受精卵にマイクロインジェクションした後、偽妊娠雌マウスの卵管へ移植し、仔マウスを出産させ、3匹の初代トランスジェニックマウスが創出された。その後、得られた初代トランスジェニックマウスをBALB/cマウスと交配し、transgeneを有する個体を継代した。各々のトランスジェニックマウス系統より2、3匹をサンプリングして屠殺し、肺組織を採取した。肺組織よりRNAを抽出した後、同RNAを使用した定量的RT-PCR行い、各トランスジェニックマウス系統におけるtransgeneの発現量を調べた。その際、endogenous Poli遺伝子由来のmRNAとtransgene由来のmRNAが区別できるよう、PCRプライマーの設定を工夫した。 その結果、3系統のうちの1系統に微量の組換えPoli遺伝子mRNAの発現を検出したが、この量はendogenous Poli遺伝子発現量の10分の1以下であった。その他2系統では組換えPoli遺伝子の発現を認めなかった。微量の組換えPoli遺伝子発現を認めた系統のマウス10匹にウレタンを投与し、肺腫瘍の発生数を対照マウスと比較したが、統計学的に有意な差を検出できなかった。 今年度の研究では、残念ながら組換えPoli遺伝子mRNAの十分な発現を示すトランスジェニックマウスを得ることができなかった。今後は、異なるプローモーターを採用して、さらにPoliトランスジェニックマウスの作出を試みると同時に、Poliノックアウトマウスの作出を行い、Poli発現が遺伝的肺発がん感受性に及ぼす影響を解明したい。
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