研究課題/領域番号 |
16021264
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 国立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
河野 隆志 国立がんセンター(研究所), 生物学部, 室長 (80280783)
|
研究期間 (年度) |
2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
|
キーワード | 染色体ホモ欠失 / がん抑制遺伝子 / Array-CGH / 肺がん / 変異 / 過メチル化 / ヒストン脱アセチル化 / CBP遺伝子 |
研究概要 |
本研究の目的は、がん細胞に生じた両相同染色体完全欠失(ホモ欠失)の領域を解析することにより、新しいがん抑制遺伝子を同定するとともに、がん化における染色体欠失の意義・分子機構を追求することである。今年度は、Array-CGH解析によって同定した肺がんにおける16p13ホモ欠失の標的がん抑制遺伝子CBPの同定、肺がん22q12ホモ欠失領域から以前単離した候補がん抑制遺伝子MYO18Bの卵巣がん、大腸がんにおける遺伝子異常の解析を行った。 Array-CGH解析により、肺がん細胞株3例における染色体16p13領域のホモ欠失を見い出した。共通欠失領域は、転写活性化因子をコードするCBP遺伝子座内にマップされた。肺がん細胞株59例と手術材料95例の解析の結果、肺がんの約10%において、CBP遺伝子のホモ欠失、変異等のゲノム異常が生じていることが明らかになった。ホモ欠失がみられたこと、Histon acetyltransferase domain変異体3例が転写活性化能の低下を示したことから考え、CBP遺伝子は肺がん抑制遺伝子として機能していることが予想された。また、CBP異常とp53遺伝子変異は同一症例にみられたことから、CBPはp53とは別の経路で、肺がんの発生・進展を抑制していると考えられた。 次に、肺がんにおける22q12ホモ欠失領域より以前単離したがん抑制遺伝子MYO18Bの、大腸がん、卵巣がんにおける異常の検索を行った。両がん種共にmRNA発現の低下が約70%において生じており、プロモーター領域の過メチル化、ヒストン脱アセチル化が、その原因であることが示された。この結果は、同遺伝子が、複数のがん種に亘り、がん抑制遺伝子として機能していることを示すものである。
|