研究課題/領域番号 |
16022227
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 助教授 (40322119)
|
研究期間 (年度) |
2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | 細胞外マトリックス / 細胞運動 / 情報伝達 / 浸潤 / MT-MMP / MAPK / JNK / インテグリン |
研究概要 |
細胞外マトリックス分解と細胞運動が協調的に作用してがんの浸潤・転移が成立する。この協調作用は細胞運動の極性形成と密接に関与していると考えられる。本研究ではMT1-MMPおよびJNK情報伝達経路の構成分子とJNK結合分子の細胞運動における役割を調べた。 ヒト線維肉腫細胞株HT1080をI型コラーゲン上に接着させることによりERK活性化、MMP-2活性化、MT1-MMP活性発現、細胞運動が誘導された。HT1080細胞におけるMT1-MMPの過剰発現は細胞運動およびERK活性化を亢進した。この細胞運動とERK活性化はMMP阻害剤とMEK阻害剤により抑制され、活性型MEK発現により誘導される細胞運動とMMP-2の活性化はMMP阻害剤でともに抑制された。また、MT1-MMPを遺伝導入した上皮細胞をコラーゲン上で培養し上皮細胞成長因子で刺激すると、対照細胞に比べてERK活性化が亢進することが判明した。上皮細胞増殖因子により誘導される細胞運動におけるMT1-MMP活性の役割を現在検討中である。MT1-MMPは恐らく細胞接着斑形成に関与することでI型コラーゲン上における上皮細胞増殖因子の情報伝達経路に影響を及ぼしていると考えられる。 JNK足場蛋白であるJSAP1のグリオーマ細胞株における発現はFAKの活性化を導き、その結果p130Casのリン酸化を誘導した。この結果と一致してJSAP1発現はフィブロネクチン刺激によるJNK活性化を亢進した。さらにJSAP1発現はフィブロネクチン上におけるJNK依存的細胞運動を誘導し、JNK結合部位を欠失したJSAP1変異体では細胞運動・JNK活性化誘導は認められなかった。JSAP1mRNAの発現はグリオーマ細胞株の運動能、ヒト脳腫瘍の悪性度と相関して上昇していた。以上のことからJSAP1は悪性腫瘍の浸潤・転移能獲得に関与していると考えられた。
|