研究課題/領域番号 |
16022264
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
荒川 博文 国立がんセンター(研究所), 生物物理部, 部長 (70313088)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
2004年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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キーワード | がん抑制遺伝子 / p53 / 転写因子 / 標的遺伝子 / マイクロアレイ / アポトーシス / プロリン代謝 / 細胞生存 |
研究概要 |
がん抑制遺伝子p53は、ほぼすべてのがんの半数以上に変異の認められる遺伝子であり、配列特異的な転写因子をコードしている。従って、その標的遺伝子の転写活性化を通してその機能を発揮すると考えられているが、生理機能の全貌は未だ明らかとなってはいない。p53の生理機能の全貌解明のためにその標的遺伝子の単離と機能解析を行った。本年度はALDH4遺伝子およびSTAG1遺伝子を単離し、その機能を明らかとした。ALDH4はプロリン代謝を枯渇させる働きを介してアポトーシスを負に制御し、同じくp53によって発現誘導され、プロリン代謝をリサイクルさせる働きを介してアポトーシスを正に制御するPOX遺伝子と拮抗することにより、細胞の生存に深く関わる可能性を見出した。また、STAG1は活性型p53-121Fによって特異的に発現誘導され、p53-121Fの強力なアポトーシス誘導活性をメディエートする、新しいアポトーシス実行分子である事実を明らかとした。このように、p53はかなり多くの標的遺伝子を様々な状況に応じて使い分け、その多彩な生理機能を巧妙に制御することで細胞の安全な生存を維持しているものと考えられる。p53の生理機能の全貌解明のためには、p53標的遺伝子の全単離が不可欠であると考えられる。また、p53の生理機能の正確な理解は、p53を用いた遺伝子治療を劇的に改善しうるとともに、新しいがん治療法の開発につながると考えられる。
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