研究概要 |
1.REG遺伝子ファミリーのうち、がん細胞での発現がヒト大腸がん・胃がん患者の生命予後と強い関連を示すREGIα遺伝子の転写調節領域を分離し、ルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入したレポータープラスミドの作製を行った。 この過程で、従来REG遺伝子ファミリーは4つの機能遺伝子(REG Iα,REG Iβ,HIP/PAP, REG IV)と1つの偽遺伝子(REG-related sequence)から構成されていると理解されてきたが、新しいREG関連機能遺伝子を見出し、REG IIIと命名した。 2.REG Iα遺伝子の種々の長さの5'上流領域を含むレポータープラスミドをリポフェクション法でヒト大腸がん細胞(SW948,SW1417,Colo205,Lovo)・胃がん細胞(Kato III, AGS, MKN74)に導入し、プロモータアッセイを行ったところ、 (1)REG Iα遺伝子の-1190から-74まで欠失させてもプロモータ活性に変化は認められなかったが、-67まで欠失させるとプロモータ活性がほぼ完全に消失した。 (2)-72から-68の領域に変異を導入するとプロモータ活性が消失した。 従って、消化管がん細胞のREG Iα遺伝子の発現には-74から-68の領域が必須であることが明らかになった。 3.またこの系を用いて、REG Iα遺伝子の転写抑制物質をスクリーニングしたところ、糖尿病治療薬として臨床応用されているロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾンなどのチアゾリジン誘導体がμMオーダーで転写抑制効果を有することが明らかになった。 4.さらに,BrdUやWST-1を用いて、チアゾリジン誘導体による細胞増殖抑制を検討したところ、顕著な増殖抑制効果が認められ、その増殖抑制効果はREG Iα蛋白質を培地に添加することにより解消した。
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