研究課題/領域番号 |
16024216
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
塚崎 邦弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40274659)
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研究分担者 |
朝長 万左男 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40100854)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL) / ヒトTリンパ球好性ウイルス1型(HTLV-1) / HTLV-1キャリア / 多段階発癌 / pre-ATL / HTLV-1ウイルス量 / 可溶性IL-2受容体 |
研究概要 |
我々はこれまでHuman T-lymphotropic virus type-1 (HTLV-1)感染からadult T-cell leukemia/lymphoma (ATLL)発症にいたる病態解析とATLLの治療/予防について、HTLV-1の高浸淫地域で研究を進めてきた。この間に蓄積した無症候性HTLV-1キャリアとATLL症例を用いた分子疫学/臨床疫学的研究により、HTLV-1によるATLLの多段階発癌機構の解明を目指した。 HTLV-1高淫浸地域における住民健診に付随したHTLV-1検診で再構築した無症候性ウイルスキャリアコホートにおいて、ATLL症例や約10年前の同一キャリアのデータと比較した。無症候性HTLV-1キャリアをフォローしたところ、約3割では可溶性IL-2受容体濃度が高値であった。しかしその多くは数年以上にわたってATLLを発症せず、この間、末梢血中のウイルス量と可溶性IL-2受容体濃度は相関しかつ安定していた。約3%のHTLV-1キャリアは、サザンブロット法で末梢血中に単クローン性のHTLV-1感染T細胞集団を認めた。この"pre-ATL"50例を長期フォローしたところ、白血球数増多の有無が"overt"なATLLの発症の有無に関わる重要な因子であることが明らかとなった。以上より、血漿を用いた簡便なELISA法によってs-IL2R値をフォローすることにより、無症候性HTLV-1キャリアの中でATLL発症リスクの高い一群を同定できる可能性が示された。 HTLV-1が病因ウイルスであるATLLについては、HTLV-1の感染予防は可能となったがATLLの標準的治療法は確立しておらず、HTLV-1キャリアにおけるATLL発症予防法は全く開発されていない。今後は、発症予防法や新規治療法の開発が、ATLL発症高リスク群のHTLV-1キャリアを対象として行われることが望まれる。
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