研究概要 |
口腔がん患者122人よりインフォームドコンセントを得た後、血液サンプルおよび質問票により生活習慣に関する情報を収集した。血液サンプルからはゲノムDNAを抽出し、以下に示す遺伝子多型について遺伝子型を調べた。また、非がん患者241人についても同様に遺伝子型を調べ、遺伝子型の口腔がん発がん危険度を解析した。また、生活習慣のうち、口腔がんの危険因子である喫煙、飲酒についてそれぞれの遺伝子型ごとに危険度を算出し、高危険群を検索した。 環境中の化学物質を活性化し反応性を高めるフェーズIの酵素群についてはCYP1A1,CYP2E1遺伝子に存在する多型について、活性化された物質を反応性の低い物質に無毒化するフェーズIIの酵素群についてはGSTM1,GSTT1遺伝子に存在する多型について、さらに、損傷を受けたDNAを修復するヌクレオチド除去修復(NER)に関与する因子のうちXPA,XPC,XPF,XPG,ERCC1遺伝子に存在する多型について、それぞれの遺伝子型を調べた。また、食道がんにおいて、喫煙・飲酒による発がん危険度が遺伝子型によって異なっていたL-myc遺伝子の多型についても遺伝子型を調べた。 その結果、1)CYP2E1のc2/c2型、CC型、XPAのAG/GG型、ERCC1のAA型の各遺伝子型は、口腔がんの危険度と有意に相関していた。2)CYP2E1のc1/c1,c1/c2型、ERCC1のCC,CA型の各遺伝子型について、口腔がんの喫煙による発がん危険度が有意に高くなっていた。3)飲酒による口腔がんの発がん危険度に影響する遺伝子型は本研究においては見つからなかった。
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