研究課題
特定領域研究
申請者は、Lats2キナーゼのM期チェックポイントにおける役割について研究を行なってきた。その過程において以下の成果を得た(論文投稿中)。(1)LATS2ともう一つの類似遺伝子LATS1それぞれの全遺伝子欠失(LATS2^<-/->,LATS1^<-/->)マウスを作製した。その結果、Lats1のノックアウト(KO)マウスは出生率が低いものの致死ではなく、生まれたKOマウスは体が小さく発育遅延を示した。(2)一方、Lats2 KOマウスは胎生11.5日目で致死であった。その死因としてLats2 KOマウスでは脳・脊髄におけるTUNEL-positiveな細胞死(apoptosis)を高頻度に認めた。これらの結果は、Lats2がLats1とは異なり胚の発生・分化に必須な遺伝子であることを示唆している。(3)Lats2 KOの胚由来線維芽細胞株(Lats2^<-/-> MEF)の細胞増殖速度は野生型のそれより速く、中心体の過剰増幅とスピンドル極に複数の中心体が癒着するスピンドル異常を引き起こし、染色体が赤道面に正しく整列しない染色体分配異常が観察された。(4)Lats2^<-/-> MEFでは細胞核の巨大化と多核化も認められたが、リアルタイムな細胞分裂進行の観察からこの原因がLats2欠損による細胞質分裂の異常であることを突き止めた。(5)さらに、Lats2がM期脱出の制御因子であるMob1ファミリーの一つと結合し、活性化されることを見出した。一方で、(6)Lats2^<-/-> MEFにおいてAurora-AやCyclin Bなどの幾つかのM期制御因子の蛋白量が減少していることも見つけた。この結果は、Lats2がM期進行に必要な蛋白質群の安定化に関与していることを示唆している。以上のように、本研究ではLats2が中心体の成熟と細胞質分裂(M期脱出)の制御の両方を通してM期チェックポイントに機能していることを明らかにした。
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Genes to Cells 10・6
ページ: 575-594
Genes to Cells 9・4
ページ: 383-397
Genes Genet.Syst. 印刷中
130000062189
Genes to Cells (印刷中)