研究概要 |
ニワトリ胚を用いた解析 【FRET】三半規管形成過程にプログラム細胞死がどの程度寄与するかを明らかにするため,in ovoでFRET法を用いたcaspase-3活性化のリアルタイム検出を行うシステムを開発してきた.ドナーとアクセプターはMiCi-mKOの組み合わせが最も有望である.また蛍光実体鏡の代わりに正立顕微鏡で低倍率の対物レンズを使用しタイムラプス撮影を行うべく装置の調整中である. 【器官培養】内耳原基(上皮のみ)の器官培養系で半規管形成過程に関わる因子の解析を行った.間充織細胞の増殖や細胞外基質の増加による機械的な圧力を考慮し,ガラスビーズを用いて耳胞に圧力を加えながらの培養を試みたり,間充織から分泌される因子の影響を仮定し,FGFあるいはヒアルロン酸でコートしたガラスビーズを用いてみたが,半規管形成には至らなかった. 【Gbx2-Otx2の相互作用と蝸牛神経節形成】転写制御因子の領域形成への関与を知るため,正常内耳では相補的に発現するGbx2とOtx2を異所的に発現させて,その影響を見た.Gbx2を異所的に発現させるとOtx2の発現は抑制され,逆にOtx2を異所的に発現させると,Gbx2の発現が抑制された.さらに,正常胚では耳胞の腹側部にGbx2もOtx2も発現しない部位が存在し,ここではFgf10が発現しているが,Gbx2あるいはOtx2の異所的な発現により,このFgf10の発現が抑制され,その部位から生ずる蝸牛神経節の形成も抑制された.またFgf10を耳胞で異所的に発現させたところ,その外側に異所的に神経節が形成された. ゼブラフィッシュミュータントを用いた解析 ゼブラフィッシュの半規管形成過程に異常を生ずるミュータントを一昨年度に4系統分離し,表現型の解析と合わせ,原因遺伝子の同定が進行中である.
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