研究概要 |
(1)Msx1,Msx2によるBMP4へのポジティブフィードバック機構の発生における役割を個体レベルでの解明、(2)Msx1,Msx2により発現調節を受けるBmp4のcis-DNA領域の同定および同部に結合する転写因子Xの単離を計画した。Msx2 promoter-Bmp4トランスジェニックマウスをMsxノックアウトマウスと交配し、ノックアウトマウスの表現型がレスキューされるか調べた。Msx2-/-;tg/tgマウスでは、Msx2-/-マウスに生じる歯の発生異常、歯原性嚢胞、骨形成異常はほぼレスキューされた。この結果は、歯の発生、骨形成には、Msx2は局所のBMP4の発現増幅という役割のみを果たしていることが考えられた。Msx1,Msx2ダブルノックアウトマウスのレスキュー実験においても、多くの器官形成においてMsxは局所のBMP4の発現増幅という役割のみを果たしていることが考えられた。Bmp4の上流領域をluciferase遺伝子につないだプラスミドを作成した。これらのプラスミドをC2C12細胞に、CAG-Msx1,CAG-Msx2プラスミドとともにco-transfectionし、どの領域にMsx1,Msx2により発現調節を受けるBmp4のcis-DNA領域が存在するのか調べた。いずれの細胞株においても、Msx1,Msx2ともにBmp4の転写開始点から上流4.0kbから4.1kbの領域にBmp4を発現促進する領域を見出した。この領域の中に、C2C12細胞の核蛋白を用いたEMSAおよびfoot printingにより、転写因子Xが結合すると考えられるDNA領域を特定した。転写因子Xを同定するために発現ライブラリーをスクリーニングし、候補を1つ見い出した。
|