研究課題
特定領域研究
高等植物の受精卵の極性分裂は植物の軸形成の最初のステップであると考えられている。本研究は、この受精卵中におけるmRNAの頂端および基部領域への局在機構を明らかにすることを一つの目的とする。また、モデル植物の一つであるイネを材料にしてin vitro受精法を確立し、イネ初期胚発生過程における遺伝子の発現プロファイルをマイクロアレイ法より解析し、初期胚発生機構をつかさどる分子の同定を試みた。開花直前の花のイネ子房および花粉から卵細胞と精細胞をそれぞれ単離することに成功し、さらに、これら単離細胞を用いてイネin vitro受精法を確立した。In vitro受精法により作製したイネ受精卵は2細胞胚・球状胚へと成長した。さらに、球状胚は多細胞塊へと分裂を続け、子葉鞘、本葉および根を分化させた小植物体へと成長した。このことから、イネin vitro受精法で作出された受精卵の発生様式は、植物体内における胚発生の特性を反映していると考えられた。卵細胞や受精卵といった極少量のRNAをアレイ解析用のプローブ作製に用いた際に得られるアレイデータの信頼性の検討を行った結果、2ngの全RNAからのマイクロアレイ解析は可能であると判断された。イネ卵細胞およびin vitro受精系で作製した受精卵それぞれ100細胞より全RNA(約2ng)を調製し、アレイ解析を行った。その結果、受精により発現が2倍以上増加する遺伝子が23個、受精により発現が抑制される遺伝子が14個同定された。受精卵細胞内におけるmRNAの局在を視覚化するため、蛍光標識したmRNAのマイクロインジェクション法の確立に向けて研究を続けている。現在、マイクロインジェクション法によるそれらRNAの受精卵への導入実験を進めている。
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