研究課題/領域番号 |
16032217
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田中 基彦 核融合科学研究所, 連携研究推進センター, 助教授 (80167501)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2004年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 強結合クーロン系 / 生体高分子 / DNAと膜孔 / グラファイトの表面破壊 / 炭素による水素吸着 / マイクロ波による加熱 / Ab initio分子動力学法 / PCクラスター計算機 / 分子科学 / 分子膜チャンネル / 強い電場相互作用 / 第一原理分子動力学 / フラーレン / DNA / 非TCP / IP高速通信 |
研究概要 |
この課題では、「強い静電相互作用と分子間力による分子構造の形成」をテーマとして、分子動力学法を用いて以下に記す3つの研究を行なった。また研究手段として、研究室単位で手軽かつ安価に設置できる高速PCクラスター計算機を構築し、その高速性を検証した。参考資料:http://dphysique.nifs.ac.jp/ [1]膜孔を通過するDNA:生体系における強い静電力の効果(Phys.Rev.Lett.,94,148103(2005)) 生体系での分子運動や構造形成においても静電相互作用が重要であることを明確に示した。DNAが安定な2重らせん構造をもつのは水素結合(静電力起源)による塩基鎖の結合が原因であるが、同様に膜孔を通って細胞内を移動するDNAの運動においても静電力は重要である。これは高誘電率の細胞液に囲まれた低誘電率の膜で電場が濃縮される(法線方向の変位電流が連続)ためである。このため隣接する膜孔では単体でイオンは存在できず、カチオンとアニオンが合体するか、強く帯電したDNAがカチオンで荷電中和した状態ではじめて膜孔を通り抜ける。ほかの生体現象でも静電力と分子間力が協調して構造形成が進行することが多いと考えられる。 [2]グラファイトの水素吸着による破壊:Ab initio分子動力学(Korean J.Phys, in press) 室温の水素雰囲気中でグラファイトの表面破壊が「自発的に」進行することを第一原理(量子力学)分子動力学法を用いて示した。通常想定されている同一炭素原子への2個以上の水素原子の吸着は、原子間の斥力のため高いエネルギー障壁(3eV程度)を越えないと実現しない。ところが、複数の水素原子がグラファイトを構成する異なる炭素原子に吸着される過程は容易に進行し、sp^2構造の平面グラファイトがsp^3的な立体構造へ変化しグラファイト面に凹凸が生じる。この結果歪みが集中した炭素-炭素結合が切断されてグラファイトの6員環構造が破壊され、そのサイトに2つ目の水素が吸着され炭化水素分子CH_2が形成されることを示した。高温(1000K)の場合は熱運動のため水素原子のグラファイトへの吸着は阻害され、表面破壊は進行しないことを示したが、これはナノ素材研究の室内実験と符合する。 [3]マイクロ波による水溶液の加熱(Soft Matter 2005、京都大学基礎物理学研究所紀要) [4]Linux PCと高速通信ソフトウェアによる高速並列計算機の構築(日本物理学会誌、2004年12月号、「話題」)
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