研究課題
特定領域研究
これまでに、面不斉アレーンクロム錯体とアリールホウ酸との立体選択的な鈴木-宮浦反応により得られた軸不斉と面不斉を併せ持つ熱力学的に不安定なsyn体のビアリールクロム錯体を熱的条件下で加熱還流をおこなうことにより、置換基の種類によって軸異性化が起こらず、クロムトリカルボニル基が反対の芳香環面に再配位することがわかった。クロム錯体側の置換基がアルキル基や、sp^2炭素を有し、立体的に小さいアルデヒドなどの場合には軸異性化が進行するのに対し、sp^3炭素を有しベンジル位にヘテロ原子を有する置換基の場合にはクロムトリカルボニ基が反対の芳香環面に再配位し、面不斉反転することがわかった。また、面不斉の反転のみならず、ビアリールの別の芳香環面に、sp^3炭素を有しベンジル位にヘテロ原子を有する置換基を導入すると位置及び立体選択的に、Cr(CO)_3基が移動することが分かった。このことにより、これまで固定型の不斉補助基として利用してきたCr(CO)_3基を可動型の不斉補助基として活用できることを明らかにした。さらに、C-N結合における軸不斉を有するN-アリールインドール類を芳香族求核置換反応により立体選択的に合成することにも成功した。これまでに、C-N結合生成の際に直接不斉を誘導した例はなく、今回初めて可能とした。また、この場合においても、熱的条件下において、Cr(CO)_3基を可動型の不斉補助基として活用できることを見いだした。
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