研究課題/領域番号 |
16033255
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
奥山 格 兵庫県立大学, 大学院物質理学研究科, 教授 (40029484)
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研究分担者 |
藤田 守文 兵庫県立大学, 大学院物質理学研究科, 助手 (00275314)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | ビニルヨードニウム塩 / ヨーダン / 超原子価化合物 / 脱離能 / 反応速度 / リガンドカップリング / ヨードニウム塩 / シクロアルキン / マイケル付加 / イリド / カルベン / 1,2水素移動 / 超原子価中間体 |
研究概要 |
ビニルヨードニウム塩は、結晶状態では、対アニオンと超原子価相互作用をもつような構造をとっている。溶液状態では対アニオンの求核性に応じて超原子価錯体と平衡状態にあると考えられ、実際にハロゲン化物イオンとの反応においては、超原子価錯体、λ^3-ハロヨーダンの生成が反応に大きく関与している。ビニルヨードニウムテトラフルオロボラート塩の溶液にハロゲン化物イオンを添加すると、λ^3-ハロヨーダンの生成による新しい吸収が長波長側に観測される。今回、シクロヘキセニルヨードニウムテトラフルオロボラートと臭化物イオンとの反応の速度を測定し、遊離ヨードニウムイオンとλ^3-ハロヨーダンの反応性を定量的に評価した。 反応は臭化物塩の添加によって大きく阻害され、反応速度は臭化物濃度とともに飽和曲線を描いて減少した。その曲線を解析することによって、ヨーダン生成の平衡定数K_1と、ヨードニウムイオンとヨーダンの単分子分解速度定数(k_1とk_2)を決定することができる。平衡定数も速度定数も反応溶媒に依存し、クロロホルム、アセトニトリル、メタノールにおけるK_1/M^<-1>:10^4k_1/s^<-1>:10^4k_2/s^<-1>は1600:8.1:1.5、690:30:0.6、5.0:6.8:〜0と大きく変化した。錯体生成は電荷の消失を伴うので溶媒極性の小さいほどK_1は大きい。ヨードニウムイオンの反応は、イオン基質からイオンの生成であり、k_1奥は溶媒にあまり依存しない。一方、ヨーダンの反応速度k_2は溶媒極性とともに大きく減少している。これはヨーダンの主反応が、イオン化ではなく分子内のリガンドカップリングであることを示唆している。したがって、ヨーダニル基の脱離能は非常に小さいと言える。すなわち、ヨードニオ基の脱離能はヨーダニル基にくらべると桁違いに大きい。
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