研究概要 |
現在,各種関節を対象としたX線画像検査では,その簡便性と被検者への低侵襲性のために,ほとんど正面像,側面像などの静止画像を撮像して評価している.しかし,多くの関節疾患は当該関節の運動機能を阻害するため,その動態情報を得ることが極めて重要である.我々は,動画対応のフラットパネルX線ディテクタ(FPD)システムを用いて,各種関節の短時間時系列X画像を取得し,それらの動態機能を定量的に解析する方法を開発している.この動態解析の結果を従来の画像検査法から得られる解析結果と比較し,この新しいX線動態検査法が正しい診断情報を提供できるかどうかを検証した. 本研究では,開閉口運動における顎関節動態と掌背屈運動における手関節動態を対象として,MRIによる準動態解析の結果と比較検討した.その結果,我々の開発した新X線動態検査法は簡便に運動機能を評価できる有望なスクリーニング画像検査法であることが明らかとなった.たとえば,顎関節について,クリック(顎関節異常の一種)の症状を持つ対象では,MRI検査法でその前方転位が観察されることを推測していた.しかしMR画像上,視覚的な画像所見でも下顎頭の定量的な動態解析結果でも,特にクリックを示唆するような兆候は見られなかった.すなわち,むしろ,関節円板に明らかな異常が認められないような軽微な機能障害は,我々が開発したX線動態検査法の方が検出感度において優れていることが示唆された.
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