研究概要 |
本研究の目的は,高精細な4次元医用画像を短時間に処理することである.この実現のために,PCクラスタを用いた,肺の3次元CT画像を対象とした非剛体位置合わせの高性能計算に関する研究を行った. 位置合わせ処理は2つの画像の差分をとる操作,差分結果により画像を小変形する操作,変形後の画像と比較画像との類似度をとる操作からなり,類似度が許容範囲に収まるまでこれらの操作を繰り返す.これらの操作の概念は対象臓器により異なることはないが,それぞれの操作の詳細は対象臓器によりさまざまの工夫が必要である. 様々な高速化手法を非剛体位置合わせに応用し,各手法がどのような計算機環境においてどの程度の高速化をもたらすのかを明らかにした.用いた高速化手法は,画像変形のためのBスプライン補間における計算量削減手法および位置合わせ計算の性能ボトルネックに着目した並列化手法である. 各手法の効果をCPU性能およびネットワーク性能の異なる3種類のPCクラスタで評価したところ,Gigabit Ethernetで相互接続されたPCクラスタが価格性能比に優れていた.また,肺の解像度512×512×295の3次元CT画像の位置合わせのための実行時間を十数時間から十数分に短縮した. この高速化により,呼気吸気のときの肺の体積変化比較に基礎をおく診断方法の研究が加速される.
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