研究課題/領域番号 |
16038206
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
二瓶 雅之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (00359572)
|
研究期間 (年度) |
2004 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | スピンクロスオーバー錯体 / 光誘起スピン転移 / 分子性導体 / 複合系 / 光応答性分子 |
研究概要 |
鉄(II)スピンクロスオーバー錯体は熱・光などの外場によって低スピン・高スピン状態を可逆に変換可能な双安定性分子として知られている。特に光によるスピン状態の可逆な変換(LIESST、Light Induced Excited Spin State Trapping)は、配位子と鉄イオンとの結合長の変化に伴う大きな構造・電子状態の変化を与えることが可能である。LIESST現象を示す分子を分子性導体に導入することができれば、光などの外場による伝導性の制御、新規な物性の発現が期待される。本研究では、「分子性導体-スピンクロスオーバー錯体ハイブリットシステムの構築」に焦点を絞り研究を行った。まず、スピンクロスオーバー錯体[Fe^<II>(dpp)_2]^<2+>と[Ni(dmit)_2]^<1->からなる複合系の合成を行った。鉄(II)錯体のアセトニトリル溶液を[Ni(dmit)_2]^<1->溶液にゆっくり拡散させることにより2:1塩[Ni(dmit)_2]_2[Fe^<II>(dpp)_2](1)を得た。その結果、鉄(II)錯体は結晶中に二分子独立に存在し、一つは高スピン錯体、一つはスピンクロスオーバー錯体であることがわかった。さらに、錯体1のアセトニトリル溶液を定電流電解することにより、4:1塩[Ni(dmit)_2]_4[Fe^<II>(dpp)_2](2)を得た。2において、[Ni((dmit)_2]アニオンは-0.5価の部分酸化状態をもつことがわかった。電気伝導度測定の結果、錯体2は活性化エネルギーE_a=101meVをもつ半導体であることがわかった。また、前駆体dppOHを出発原料として四段階の反応により分子内にTTFドナー部位をもつ新規配位子dppTTFを合成した。この配位子から得られる鉄二価錯体[Fe^<II>(dppTTF)_2](BF_4)_2(3)は、熱および光により可逆にスピン転移を示し、さらに二段階の可逆な酸化還元挙動を示す外場応答性ドナー分子であることがわかった。得られた錯体の詳細な物性に関しては現在検討中である。
|