研究概要 |
磁場や電場に反応して多機能性が発現される流体(高機能性流体)を用いて,様々な応用機器の開発や,それらに関する基礎的研究や応用研究が現在まで盛んに行われてきている.これに対して,本申請における研究代表者らは,新しい高機能性流体を開発する上で,金属ガラスを流体的に利用する方法に着目し,平成16年度から継続的に研究に着手している.本年度は,昨年度の研究に引き続き,微粒化された金属ガラス(1μmオーダーの球形微粒子)を流体に用いた,新しい金属ガラス混合流体について,さらなる発展的な研究を行った.すなわち,磁場を利用して,溶媒中において金属ガラス微粒子の挙動を制御することにより,この新しい金属ガラス混合流体の特性を変化させた時の物性特性の測定と,マイクロ・ナノ研磨,粘性ダンパへの工学的利用技術への展開を行った.まず,1〜0.1μmオーダーのCo-Pの金属ガラスの微粒子を作成し,飽和磁化,初磁化率等の磁気特性を調べた.次に,微粒子の金属ガラスを用いて,混合流体(アモルファス混合流体と命名)を作成し,粘度特性と磁化特性の測定を行った.次に,作成したアモルファス混合流体を用いて,あらゆる材料(SUS,セラミックス,ガラス等)におけるナノ研磨について,既存の研磨試験装置を使用して,研磨実験を行い,平坦度の高いナノオーダーでの鏡面仕上げ面を得ることに成功した.また,このアモルファス混合流体を用いて,既存の粘性ダンパの試験装置に使用して,新ダンパ効果についての知見を得た.粘性ダンパの場合には,粘度特性に起因して,従来の磁気混合流体(MCF)を用いたときよりもダンパ効果が小さいことが分かり,アモルファス混合流体の場合には,研磨へ展開することが有利であることが分かった.また,これらを通して,金属ガラス混合流体の実用化へ向けた有用なデータと,応用機器への展開における設計基本データについて取得することが出来た.
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