研究概要 |
本研究は、金属ガラスの分子動力学計算に不可欠である高精度な環境依存型分子動力学ポテンシャルの標準規格の構築を行い、ポテンシャル開発ソフトを特定領域研究メンバに公開し、ポテンシャルデータベースを開発することを目的とする。 ポテンシャル作成において最も大きな課題となる、最適なパラメータの探索手法についての開発を行った。第三者にポテンシャル作成が可能なような汎用性のある遺伝的アルゴリズム(GA)が有効であることに着目し、これを発展させたものを考え、上記作成ソフトに組み込んだ手法を単元系(シリコン)及び多元系(シリコンーボロン)に適用し、その有効性を示した。本成果は、雑誌論文に投稿し、掲載可となっている。 さらに、金属ガラスの研究グループとの議論を通して、金属ガラスの再現に必要な物性値(結合距離と混合熱、結晶構造)を同定し、GEAMポテンシャルベースに、金属ガラス用ポテンシャルを作成した。現在、Cu, Ag, Au, Ni, Pd, Pt, Al, Pb, Ir, Al(FCC), Fe, Mo, Ta, W, Mg, Cr, Nb(BCC), Co, Ti, Zr, Ru, Hf, Co(HCP)らの金属の多元系での表現が可能になっている。 なお、開発したポテンシャル開発ソフトは公開を前提としているため、インターフェース部分を作成した。ユーザはWebページにおいて、使用したいポテンシャル関数形、合わせ込みたい構造を入力すれば、金属ガラスの分子動力学ポテンシャルの作成が可能になっている。分子動力学に関して知識のなかったユーザも簡便に分子動力学シミュレーションを出来るようになると考えられる。最後に、作成したソフトについて国内・国際学会における学会発表を行い、広く情報交換を行った。
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