研究分担者 |
池内 建二 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (10030058)
柴柳 敏哉 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (10187411)
田中 学 大阪大学, 接合科学研究所, 助教授 (20243272)
高橋 誠 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (10294133)
津村 卓也 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (00283812)
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研究概要 |
平成16年度に得られた結果に基づき,本年度は厚さが25μmのNi基金属ガラス箔(Ni_<53>Nb_<20>Ti_<10>Zr_8Co_6Cu_3合金)に対してより実用化に近い2枚の箔を重ねて溶接するいわゆる重ね溶接継手について検討した。まず平成16年度と同様の半導体レーザ溶接により溶接欠陥の無い溶接継手の形成に関する検討を行い,続いて溶接欠陥の無い溶接部に対して溶接部の形成組織の評価及び継手引張試験を行った。その結果,レーザ出力26W一定で,溶接速度が約3m/minでは割れなどの溶接欠陥の無い重ね継手が得られることを示した。しかし微小部X線回折結果及びTEM観察結果により溶接部は非晶質状態を主体としているものの比較的多くの微結晶が存在し,かつ構造緩和による脆化が進んでいると考えられ,継手強度は最大でも約400MPaであった。さらなる継手強度の向上を目指して,レーザ溶接よりもエネルギー指向性が強いためにより高い冷却速度が得られ,かつ高真空雰囲気のために酸化を防止することが可能な電子ビーム溶接により重ね継手溶接性を検討した。その結果,良好な重ね継手では継手強度は約1000MPaが得られた。結晶相の存在はレーザ溶接の場合よりも明らかに減少しており,また破面観察結果では粘性破断を意味する葉脈模様を示す領域の面積率に比例して継手強度も増加することが明らかになった。 以上の結果,本研究ではNi_<53>Nb_<20>Ti_<10>Zr_8Co_6Cu_3金属ガラス箔の溶接の可能性について半導体レーザ及び電子ビーム溶接を用いて検討を行い,溶接入熱および治具の抜熱を制御することによる高冷却速度と溶接雰囲気の制御により継手強度が最高で1000MPaの重ね継手が得られることを明らかにした。しかし,完全非晶質継手は現状では困難であり,微結晶の形成及び構造緩和による脆化防止が次の研究課題として明確になった。
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