研究概要 |
(Fe_<0.75>B_<0.15>Si_<0.10>)_<100-x>Nb_x(x=1-4)金属ガラスについて、密度、飽和磁化、保磁力及び磁歪の関係を調査した。その結果、Fe-(Al,Ga)-(P,C,B,Si)系金属ガラスと同様に、比較的磁歪は大きいものの、低い保磁力を示すことを明らかにした。実験結果をquasi-dislocation dipole(QDD)型欠陥モデルに基づいて理論解析を行い、Fe-B-Si-Nb系金属ガラスの低保磁力の起源について検討した。その結果、磁壁のピンニングサイトとして働くQDD型欠陥のサイズは従来のアモルファス合金やFe-(Al,Ga)-(P,C,B,Si)系金属ガラスとほぼ同じであることを確認し、ガラス相中の自由体積の減少により保磁力が低下していることを明らかにした。またFe-(Al,Ga)-(P,C,B,Si)系と比較すると、Fe-B-Si-Nb系の方が低い保磁力と大きな飽和磁化を示し、軟磁性材料としてより優れたポテンシャルを有していることを確認した。 またフラックス法を用いて、[(Fe_<0.5>Co_<0.5>)_<0.75>B_<0.20>Si_<0.05>]_<96>Nb_4金属ガラス大型試料の作製について検討を行った。その結果、B_2O_3フラックス処理した溶湯を水焼入れすることにより、直径7.7mmのガラス相単相試料の作製に成功した。これは同合金の銅鋳型鋳造法による最大直径の1.5倍であり、また軟磁性金属ガラスとしては世界最大である。また磁気特性についても、バルク試料は薄帯と同じ飽和磁化と、20A/m以下の低保磁力を示すことを確認した。これらのことから、優れた軟磁性を示すバルク試料の作製に成功したと言える。
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