研究概要 |
本研究は,低気圧,短ギャップ条件下における新たなマイクロプラズマ源の開発およびその診断を目的として研究を行った.固体壁に囲まれた小さな閉空間プラズマでは,放電そのものが固体壁の影響を強く受けるのみならず,壁の状態がプラズマパラメータにフィードバックされる.プラズマが生成され始める磁界(放電開始磁界)を測定した結果,ECRおよび2^<nd> Harmonic ECR条件付近の磁界を印加したときに放電が開始する傾向が確認され,同軸型低気圧マイクロプラズマの生成を行うにあたり,ECR共鳴および2^<nd> Harmonic ECRの高次の共鳴が有効であることが確認された. また,プローブ測定,発光分光測定により,電子軌道の収縮に起因していると考えられる2^<nd> Harmonic ECR条件付近での電子密度,発光強度の増加が確認された.さらに,磁界配位を一様磁界からミラー磁界へと変更することにより,電子密度の増加が確認された.これは電子の軸方向の閉じ込め効果が効いているものと考えられる. 二次電子放出係数の高いMgO電極壁を有する閉空間マイクロプラズマでは,2^<nd> Harmonic ECR条件で電子密度が最大,ECR条件で電子密度が最小となる結果が得られた.これはSUS電極と定性的に同じ結果である.しかしながら,壁との相互作用が激しいRCR条件でのマイクロプラズマは,壁の影響を強く受けて電子密度の増加率が最大となるという興味ある結果が得られた.この考察を裏付けるように,電子の閉じ込めの良い2^<nd> Harmonic ECR条件付近では,SUS電極をMgO電極に代えても電子密度がほとんど変化しない結果となった. また,二次電子放出係数を変化させて行われたPIC-MCシミュレーションの結果から,プローブ法及び発光分光法を用いたプラズマパラメータ診断の実験結果とシミュレーション結果が定性的に一致していることが確認された
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