研究課題/領域番号 |
16041226
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 (2005) 京都大学 (2004) |
研究代表者 |
石森 浩一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20192487)
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研究分担者 |
木村 哲哉 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
2005年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2004年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 蛋白質立体構造形成 / 部分モル体積 / 高圧下分光法 / 活性化体積 / 水和 / 脱水和 / 初期収縮状態 / チトクロムc / 光誘起電子移動 / 重水効果 |
研究概要 |
本研究では、水和水の挙動を反映する蛋白質の部分体積に注目し、チトクロムc(Cyt c)の立体構造形成過程の圧力依存性を測定することで、蛋白質立体構造形成における水の挙動について、以下の成果を得た。 1.塩酸グアニンジン存在下、天然状態と変性状態の平衡状態にあるCyt cについて、その平衡定数の圧力依存性から、部分モル体積の差(ΔV_<UN>)をより正確に求めたところ、天然状態の方が約25ml/mol小さいことが示された。Cyt cの立体構造形成におけるこのような負の体積変化は、疎水性部位からの水和水の解離(脱水和)による体積減少が顕著であることを示しており、その原因として疎水性の高い分子団であるヘム周りからの脱水和の寄与が示唆された。このような脱水和は、大きな正のエントロピー変化を伴い、変性状態から天然状態への立体構造形成に伴うペプチド鎖が失う莫大な構造エントロピーを相殺することで、蛋白質の立体構造形成をエネルギー的に有利にしていると考えられた。 2.初期収縮状態(collapsed state)から天然状態への構造形成のための活性化体積、つまりcollapsed stateから遷移状態までの部分体積の差(ΔV^*_<CN>)(-14ml/mol)と1.の結果を比較すると、その体積差は同程度であった。このことは、Cyt cにおいては、その変性状態から天然状態への立体構造形成の全過程で排出される水和水の個数と同程度の個数の水和水が、この遷移状態形成に脱水和することを意味している。つまり、Cyt cにおけるcollapsed stateから天然状態に至る遷移状態の段階で、既に天然状態に近い構造が形成されている可能性を示している。
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