研究課題
特定領域研究
生体分子の一つである蛋白質のほとんどは水溶液中で働くので、その構造や機能は水との相互作用で決まる。従って、好熱菌や低温菌の酵素がどのような機構で高温環境や低温環境に適応したのかを明らかにすることができれば、水と蛋白質の相互作用に関しても新たな知見の得られることが期待される。本年度は以下の成果を得た。1.超好熱菌リボヌクレアーゼHIIの安定性が、オスモライト存在下で大きく向上することを見いだした。このことから、超好熱菌の細胞内には様々な安定化因子の存在することが示唆された。また、活性中心変異体の安定性が大きく向上することを明らかにした。このことから、超好熱菌酵素でも活性中心は不安定化されていることが示唆された。さらに、好熱菌リボヌクレアーゼHIIIの結晶構造を決定した。2.超好熱菌サチライシンは、他の中温菌由来サチライシン同様プロ体からプロペプチドが切断されて活性型の成熟体になる。しかし、これらのサチライシンとは異なり、超好熱菌サチライシンの成熟化にはプロペプチドではなくCa^<2+>が必須であることを明らかにした。また、成熟体の構造がCa^<2+>の結合により大きく変化することを明らかにした。3.低温菌FKBP22は、ペプチジルプロリルシストランスイソメラーゼ(PPIase)活性部位を含むC末端ドメインと2量体の形成に必要なN末端ドメインから成る。これらのドメインと部分変性した蛋白質の相互作用を解析することにより、N末端ドメインはPPIaseの蛋白質基質との結合に必要であることを明らかにした。4.アミロイドβペプチド(Aβ_<28-42>)を超好熱菌リボヌクレアーゼHIIのC末端領域に導入した変異体を作製し、その結晶構造を解析した。その結果、野生型酵素ではαヘリックス構造を形成しているC末端領域が、変異体では逆平行βシートに近い構造を形成していることを明らかにした。
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