研究概要 |
既存のタンパク質ソフトウエアであるTinkerに拡張アンサンブル法とRISM理論を組み込むプログラムの開発を行った.まず,Tinkerにモンテカルロ版と分子動力学版の拡張アンサンブルアルゴリズムを導入した.そして,このソフトウエアに3次元RISM理論のアルゴリズムを組見込んだ.3次元RISM理論のプログラムに関しては,分子研の平田グループ(主に丸山博士)と立命館大学の今井講師と共同研究を行った.現在,数十残基の系で,3次元RISM理論により溶媒効果を取り入れた拡張アンサンブルシミュレーションを分子研のグリッドコンピュータシステムを使って,行っている. また,名古屋大学の岡本教授,東京大学の杉田講師,東京工業大学の西川助教授,長浜バイオ大学の依田講師とともに,水を陽に取り込んだ56残基からなる(水分子も含めると約50000原子からなる系)大規模な分子動力学レプリカ交換シミュレーションを行っている.200Kから700Kまでで,224個の温度を用いている.各レプリカが4並列化されており全部で896cpuのコンピュータを用いて大規模計算を行っている.この計算は地球シミュレータを用いている.現在,1レプリカあたり4nsのトラジェクトリを得ている.今後,更に効率の良い拡張アンサンブル法であるマルチカノニカルレプリカ交換シミュレーションへの移行を考えている.また,シミュレーションの途中であるが,これまでの結果の解析を進めている.このトラジェクトリを保存するために2Tのハードディスクを増設した. シミュレーション解析手法の開発も行っており,高分子の分野で使われている緩和モード解析をタンパク質系に取り入れる試みを行った.緩和モード解析のモードは主成分解析のモードよりもより準安定状態の遷移を記述するのに適していることが分かった. 上記プログラム開発,テストラン,長時間ランのためにファイルサーバと7ノード14cpuからなるクラスターを増設した.
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