研究概要 |
CD8α陽性樹状細胞は、免疫監視と免疫寛容の両者のバランス制御において重要な役割を担っているとされている。本研究課題ではCD8α陽性樹状細胞活性化機構の一端を明らかにすることを目的に、CD8α陽性樹状細胞上のDNAM-1の機能を解析した。またこれに先立ち、DNAM-1のリガンド同定、DNAM-1のマウスホモログの同定等をおこなった。以下に本年度の研究実績を述べる。 1,DNAM-1のリガンドがCD155(PVR)とCD112(PPR2)であることを同定した(Int.Immunol. 16:533-538,2004)。 2,DNAM-1のマウスホモログを同定した(Biochem.Biophys.Res.Commun.,2005 in press)。 3,抗マウスDNAM-1抗体(TX42)を作成した。 4,DNAM-1の329番目のセリンのリン酸化がDNAM-1とlipid raftsの会合に必須であることを明らかにした。また、細胞内シグナルの伝達に重要であるDNAM-1の322番チロシン残基は、DNAM-1とlipid raftsの会合下においてのみリン酸化されることを示した(Int Immunol. 17:217-23.2005)。 5,CD8α陽性樹状細胞上DNAM-1の機能解析 (1)CD8α陽性樹状細胞上のDNAM-1を特異抗体で刺激すると、CD8α陽性樹状細胞上のCD80やCD86などのcostimulatory moleculeの発現が上昇した。 (2)DNAM-1刺激によりCD8α陽性樹状細胞のIL-12の産生が亢進した。 (3)DNAM-1刺激後のCD8α陽性樹状細胞によって抗原提示されたCD4陽性T細胞では、IFNγの産生亢進を認めた。 (4)以上の結果より、CD8α陽性樹状細胞上のDNAM-1を介して細胞内に伝達されたシグナルによりCD8α陽性樹状細胞が活性化することが示唆された。
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