免疫抑制機能を有すCD4^+D25^+T細胞を除いた細胞(CD4^+CD25^-T細胞)を、若齢・老齢マウスから調製し機能比較したところ、老齢マウス由来CD4^+CD25^-T細胞には刺激培養後に免疫抑制機能が誘導されることを見出した。更にこの抑制機能を阻害する抗体を樹立し、抗体の認識分子を同定したところ、それはCD45分子であることが明らかになった。 その後の解析で、老齢マウス由来CD4^+CD25^-T細胞に含まれているCD4^+CD25^-R123^<lo>CD103^+T細胞が、刺激培養以前から最も強い抑制活性を呈すことを見出した。加齢に伴い出現する免疫抑制性CD4^+CD25^-R123^<lo>CD103^+T細胞は、24ヶ月齢において全CD4T細胞の約7%を占める。この抑制機能を阻害する単クローン抗体の樹立を試みた。CD4^+CD25^-R123^<lo>CD103^+T細胞で免疫したラット2匹から各々2つのハイブリドーマクローン、計4つのクローンを樹立した。これら抗体の認識分子を検討したところ、驚いたことに全ての抗体がCD45分子を認識していた。 これら抗体のマウス生体内投与による影響・効果を検討した。一部抗体は細胞障害性を示した。また障害性を呈さなかった抗体をOVA免疫の際に併用すると、免疫効率が格段に上昇した。この抗体はin vitro解析から、抑制機能を解除すると同時に応答細胞に対してはcostimulatory活性を呈すことを確認している。従って抗体のこれら特性が、生体内での免疫効率の上昇に繋がったものと推測している。
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