研究課題
特定領域研究
神経細胞で発現するタンパク質の細胞内輸送過程を(1)ERからゴルジ体までと(2)ゴルジ体以降の軸索順行輸送過程に分けて解析を行った。X11Lは細胞質タンパク質であるが、ゴルジ体等の膜分画に多く回収され、X11Lに結合する膜タンパク質の輸送を制御する予備的知見を得ている。X11L結合性膜タンパク質の例としてAPPの輸送を解析した。その結果、X11L発現下ではAPPはゴルジ体を通過しないで細胞膜へ輸送される結果を得た(これをノンクラシカル経路と名付けた)。この分子機構を解明する目的で、X11Lと結合するARFを細胞に共発現しAPP輸送を調べたが、ARFはX11Lとは独立に機能することが判明した。また、ファミリー分子X11およびX11L2も同様の機能を示すことが判明した。実験に用いた培養細胞では、主にX11L2が発現しているためRNAi法を用いてX11L2の発現をノックダウンしたところ、ノンクラシカル経路による輸送は遮断された。一方、神経細胞内では、APPはX11Lを介して新規膜タンパク質Alcadeinと三量体を形成し(Araki et al.,J.Biol.Chem.[2003]278,49448)、X11Lの解離により2つのタンパク質は協調的な代謝を受けている(Araki et al.,J.Biol.Chem.[2004]279,24343)。そこで上記(2)に関連する解析として、Alcadeinの輸送を解析したところ、APPとAlcadeinは独立した小胞で異なる速度で輸送される事を全反射顕微鏡を用いた解析から解明した。APPはJIP1bを介してKLCに結合し、Alcadeinは直接KLCに結合し小胞輸送を受ける。ノンクラシカル経路で運ばれたAPPもX11LからJIP1bに受け渡されるのかどうかなど詳細な分子機構を解析中である。
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