研究課題
特定領域研究
生体を対象とした計測における究極の目的の一つに、細胞中の任意標的化学種を一つずつ識別して、その動的挙動を観測することがある。近年、生体関連物質の単一分子検出により生命活動の根幹に関わる新たな知見が得られ始めているが、特殊な例外を除くと単一分子の計数は単純溶液中においてさえ強い蛍光性を持つ特定の化学種のみでしか実現していない。一方、アミノ酸・核酸塩基などの生命科学関連化学種の多くは、本来蛍光性分子ではない。本研究では、申請者らが開発してきた光熱変換分光および光イオン化分光の計測手法を発展させることで、生きた単一細胞内にある無蛍光性化学種の高感度分布測定の実現とそれに基づく、新しい生命物理化学分野の開拓を目的とした。細胞内無蛍光性化学種の実空間分布測定のために紫外励起光熱変換顕微を開発して、酵母菌を測定対象として検討した。本顕微鏡では、260nm励起で光熱変換顕微鏡像(強度像と位相像)と780nmの透過光像を同時計測できる。光源として218-230nmの光を使うことも可能とした。観測された光熱変換強度像では、励起波長での光吸収量の空間分布に対応する画像を与え、無染色の状態での個々の酵母菌の識別に成功した。光熱変換位相像は、酵母菌とその周辺部での熱特性の違いを反映すると推測される画像を与えた。紫外線照射下では細胞損傷が問題となる。この点も検討し、観測時間内に細胞死を迎えることはないと結論した。ただし、紫外線照射後には細胞分裂に支障が生じ約3回の細胞分裂周期となる12時間程度の後に細胞死を迎えると推定される。研究をまとめ、学術研究会や学術論文誌上で公表した。
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