配分額 *注記 |
18,900千円 (直接経費: 18,900千円)
2007年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2006年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2005年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
2004年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
|
研究概要 |
合成法の確立された光学活性化合物を合成素子として用いるアプローチは,天然有有機化合物の不斉合成において重要な位置を占める。本研究では,新しいタイプのキラル合成素子として軸性不斉化合物に着目し,これらを活用する合成方法論を開発してきた。本年度の主な成果は以下の通りである。 (1)本研究ではこれまでに、酵素触媒によるエナンチオ選択的非対称化反応が,光学活性オルト四置換軸不斉ビフェニルを合成するための優れた手法となることを明らかにしてきた。 本年度の研究では,天然物合成への展開を図り,キサントン骨格とアントラキノン骨格がビアリール型に結合した構造をもつEuxanmodinBの全合成を検討した。その結果,ビフェニル化合物の各芳香環に環構造を融着し,アントラキノン骨格およびキサントン骨格を形成する方法を開発することに成功し,標的化合物の全合成の最終工程を検討する段階まで至った。これにより本アプローチが,多環芳香環同士がビアリール結合した天然物を合成するための手法として有効であることを示すことができた。 (2)エリスリナアルカロイドは,ヒドロインドール環とテトラヒドロイソキノリン環がスピロ型不斉中心を共有して縮環した特徴的な四環骨格をもっ。古くから合成化学の標的化合物とされてきたが,不斉合成の例はきわめて限られている。これまでの研究で開発してきた,ビフェニル化合物の脱芳香化反応を基盤とするアプローチを駆使することにより,これまでに全合成例のない,C11位が酸素官能基化された類縁体を含めて5種の天然エリスリナアルカロイドの全合成に成功し、方法論としての有用性を示すことができた。
|