配分額 *注記 |
28,300千円 (直接経費: 28,300千円)
2007年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2006年度: 8,100千円 (直接経費: 8,100千円)
2005年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
2004年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
アンフォテリシンB(AmB)は,重要な抗真菌剤として感染症治療に広く使われており,生体膜中でイオン透過性を持つチャネル複合体を形成して活性を発現すると考えられているが,詳細な構造は不明である。本研究者は,AmBによって形成されるチャネル複合体の構造を明らかにするために,膜系の測定に有効な固体NMR,すなわち,異種核間距離測定法の一つである^<13>C{19F}REDOR法を適用することを計画し,一方を19Fで他方を13Cで標識化したAmBを用い,炭素-フッ素間の距離を測定することにした。天然物からの誘導および化学合成によって調製した19F-AmB誘導体および培養によって得られた13C-AmBを用いて固体NMRを行ったところ有意なREDOR減衰が観測され,本方法論がチャネル複合体の構造解析に有効であることが示された。 サリシリハラミドAは,哺乳類の液胞型ATPアーゼ(V-ATPase)に特異的作用する抗腫瘍性天然物である。V-ATPaseは,ATPの加水分解と共役したプロトンポンプ(膜蛋白質)であり,種々の生命活動において重要な働きを担っている。さらに癌細胞の表面にも存在することが知られており,癌の浸潤や転移などに深く関わっている。本研究では,膜系での構造解析に有効な固体NMRを用いてサリシリハラミドAと液胞型ATPアーゼとの分子複合体の構造を明らかにし,分子レベルでの生理活性発現機構を明らかにすることを目的として,4-19F-標識化サリシリハラミドAを化学合成によって調達した。フッ素標識体は天然物と同等のV-ATPase阻害活性を示し,生理活性発現機構のための分子プローブとして有用であることが明らかとなった。
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