配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2007年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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研究概要 |
本研究は,燃料電池の固体電解質材料などに用いられるイオン導電性セラミクスの界面におけるイオンダイナミクスの新しい研究手法を探ることを目的とし,パルスレーザデポジション(PLD)法を用いてナノメータスケールで人工的な界面構造を構築し,界面での局所的な配列の変化がイオン拡散に及ぼす影響について研究を行った.モデル物質としてプロトン導電性ペロブスカイト型酸化物として知られるYをドープしたSrZr03を選択した.PLD法により(001)Mg0基板上にSrZr03層を成膜し,SrZr03層とYのドーパント層を交互に積層することでドーパント層を周期的に挿入した人工的な多層膜を作製した.結晶構造や電子構造がとプロトンダイナミクスに与える影響を調べるため,XRD,電子顕微鏡による構造解析,放射光を用いた電子構造の解析,複素インピーダンス法によるプロトン導電性の評価を行った.作製した多層膜は人工的に数原子層の酸化イットリウムが挿入された平坦な界面を持つエピタキシャルな構造であることがわかった.また,この人工的なヘテロ界面を有する構造がプロトン導電性を有していること,および,プロトン導電性が多層膜の周期に依存することを明らかにした.一方,多層膜のバンドギャップ付近の電子構造はバルク結晶とは異なり,バルク結晶の0lsのX線吸収スペクトルにおいて観測されるバンドギャップ内のアクセプター準位やホールの構造はほとんど存在しないことが明らかになった.本研究によって,多層膜ではバルク結晶とはプロトン伝導する温度領域,活性化エネルギーなどが異なり,プロトン導電性に大きな違いがあることがわかった.このような人工的な多層膜によるイオン導電性セラミクスの研究は,薄膜化によるイオニクスデバイスの高性能化の研究においても重要な役割を果たすことが期待される.
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