研究課題/領域番号 |
16074209
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 進 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (20140303)
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研究分担者 |
大場 正昭 京都大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00284480)
張 浩徹 准教授, 大学院・工学研究科, 助教 (60335198)
植村 卓史 (植村 卓司) 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50346079)
稲垣 伸二 豊田中央研究所, フロンティア研究部門, グループリーダー (30374086)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
127,000千円 (直接経費: 127,000千円)
2007年度: 22,200千円 (直接経費: 22,200千円)
2006年度: 22,200千円 (直接経費: 22,200千円)
2005年度: 75,500千円 (直接経費: 75,500千円)
2004年度: 7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
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キーワード | 多孔性金属錯体 / 複合機能 / 高分子合成 / メソポーラスシリカ / ナノ空間 / 金属錯体 / ガス吸着 / 反応場 / 物性 / 多孔性多孔性配位高分子 / 分子配列 / 磁性誘電癒合 / 触媒能 / 入子構造 / 直接観測 / 動的骨格 / アセチレン / 分離 / 吸着 / 水素吸蔵 |
研究概要 |
多孔性金属錯体による細孔の特徴のひとつとして、骨格を構築する有機配位子に由来する、官能基に基づいた特異的相互作用点を有する細孔を合理的に構築できること事があげられる。我々は細孔壁に塩基性の酸素原子を露出させた多孔性金属錯体CPL-1; [Cu2(pzdc)2(pyz)] (pzdc=pyrazinedicarboxylate; pyz=pyrazine)にゲスト分子として酸性部位を有するアセチレンを吸着させ、アセチレンの吸着構造及び吸着挙動を検討した。1) アセチレンと二酸化炭素の吸着測定を行うと、アセチレンの等温線は二酸化炭素にくらべて低圧部から鋭く立ち上がりホスト骨格とゲスト分子との強い相互作用が示唆された。続いてCPL-1のアセチレン吸着前後の構造を明らかにするために、高輝度放射光による粉末X線回折測定を行った。10kPaのアセチレン雰囲気下で温度を393Kから温度を下げていくと320Kから270Kで大きく回折パターンが変化し、吸着に伴う結晶構造の変化が確認された。170Kにおける回折パターンをMEM/Rietveld法によって解析し、アセチレンの吸着構造の特定を行った。その結果、CPL-1は1細孔あたりアセチレン1分子吸着し、1次元細孔中にそって配列している事がわかった。さらに、興味深い事にアセチレン分子は細孔壁に導入した2つ塩基性酸素原子により両側から水素結合を介して取り込まれている事が明らかとなった。通常の吸着剤では吸着量に顕著な差を見る事ができないが、この物質では二酸化炭素に比べ最大で26倍ものアセチレンを吸着でき、アセチレンの密度は400気圧(約40MPa)以上にも濃縮できた。これはアセチレンが爆発する危険のある2気圧の200倍に相当するものであった。 二重入子構造をしたナノメートルサイズの細孔物質を合成し、その内部に含まれるイオンを交換することにより、ナノメートルのさらに100分の1単位で細孔の大きさを制御することに成功した。これにより様々なガスを効率的に分離する可能性がしめされた。2) {[Ni(bpe)2(N(CN)2)](N(CN)2)(5H20)}nは二重入子構造をしたナノ細孔物質であり、大きさの異なった2種類の細孔を内部に有する。2つの細孔のうち一方はガス分子を取り入れるための空間とし、もう一方を様々なイオンを入れる空間として使い分け、アジドイオンとのアニオン交換を行うと、二重の入子構造をずらし、イオンが入っていないガス分子を取り込むための細孔の大きさも変化させることができた。イオンの大きさはガス分子と同様に非常に小さな大きさの物質であるから、そのイオンを交換することにより、ナノ細孔の大きさをまさに100分の1nm単位で変化させることができた。これにより、ガスや有害物質の分離に関する次世代の先端機能材料への一つの道が開けたと考えられる。 ほとんど触媒活性を示さないような有機官能基(カルボキシレート基)でさえ、多孔性金属錯体の細孔中に規則正しく適切な位置で配置させることで、重合触媒サイトとして効果的、特異的に機能することを発見した。3) これにより、一置換アセチレン類を細孔内で自発的、かつ立体規則的(trans構造)に重合させることに成功した。興味深いことに、細孔のサイズや表面状態により重合挙動が大きく変化することや、モノマーの電子状態による選択性が見られることがわかった。このような複合材料を構築することで、将来的な単分子デバイスへの応用に向けた情報を得られる系になると期待できる。
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