配分額 *注記 |
9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
2007年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2005年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2004年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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研究概要 |
配位高分子のつくるナノ細孔(配位空間)では,その周期的な静電ポテンシャルを反映して,規則的に配列した吸着分子クラスターを形成することが可能である.特に酸素分子02については,分子間力に磁気的相互作用が大きく関与していることから,「磁場誘起再配列機構」による磁化過程の異常が予測される.これは従来研究されている低次元磁性体では見られない新しい量子効果であり,分子配列の違いによって多彩な磁気的振舞いが期待される.本特定領域研究では,いくつかの多孔性配位高分子において,その配位空間に吸着した02クラスターが,異常な磁気的性質を示すことを発見した.CPL-1の配位空間に吸着した02分子は02-02ダイマーを形成する.この磁化過程や帯磁率の温度変化は,S=1ハイゼンベルグ反強磁性モデルでは説明できず,異なった配列の励起状態を考慮したモデルによって説明される.第一原理計算によると,02-02ダイマーの基底状態はH-型配列をもつ非磁性状態であり,観測された02分子の配列はこれと一致する.CPL-1に吸着したN2-N2ダイマーの構造は傾いたS-型であり,分子配列に分子間相互作用が効いていることがわかる.一方,02-02ダイマーの励起5重項状態の最も安定な配列はS-型である.このため,通常の配列を固定したモデルに比べ励起状態が下がることが特徴である.同様の磁気的性質はCu-CHDでも観測されており,概ねCPL-1と同様のモデルで説明できる.CPL-plやCID-4でもメタ磁性が観測されるが,吸着量に依存することが特徴である.これらの結果から,02クラスターの磁性では配列の異なる励起状態を考慮する必要があることが明らかになった.より直接的な「磁場誘起再配列」の実験的検証が期待される.
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