配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2006年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2005年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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研究概要 |
視覚障害者が点字を読む際の触圧(接触力)と運指(手指の動き)を計測し,これと読み能力(読み速度)との関係を明らかにすること,更にこの知見に基づいて点字指導法を再考することが本研究の目的である。 触圧測定のため平成16年度には面圧力分布測定システムを導入した。この測定システムには,被験者が自然な姿勢で触読できる利点がある。16年度から17年度にかけて同システムを用いて測定を行ったところ,点字熟達者でも触読中の触圧が変動すること,行末では触圧が軽くなることなど,従来の知見と異なる様子が観察された。しかしシステムの校正では,測定位置及び時間により出力値が変動するという問題が判明した。この変動量は測定対象の値に比べて大きく,定量データとしての信頼性に欠けた。 そこで平成17年度半ばには,高精度かつ安定した出力を条件に,6軸力センサを用いたシステムを構築した。1ヶ月を挟んだ2回の校正で精度と安定性を確認した。 この接触力測定システムを使って,点字未熟者から熟達者まで32人を被験者とした接触力測定実験を実施した。その結果,読みが速い人が接触力が軽く,読みが遅い人が強いという従来より主張されてきた関係は見られないことを明らかにした。接触力についてそのほかに,読み返し後に接触力が増加しないこと,行替え時に接触力が急激に下がること,点字熟達者でも触読中の接触力が微細に変動すること,なども明らかにした。被験者属性と読み速度の関係では,触読速度は点字学習開始年齢と日常の点字使用頻度に関係することがわかった。従来より両手による読みは片手より速いといわれてきたが,この命題も否定された。 今後は,実験結果を活かして,点字学習者の認知負荷を軽減する指導法を考案していく予定である。
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