配分額 *注記 |
48,100千円 (直接経費: 37,000千円、間接経費: 11,100千円)
2006年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2005年度: 17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2004年度: 19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
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研究概要 |
本研究では,画像から被写体人物の視線方向を推定し,人物がカメラの方向を向いているか否かを判定する問題を取り扱った.この問題は,人間の視覚機能を模倣することから始まったコンピュータビジョンの研究において,「自分を見ている他者の視線に敏感に反応する」という人間の特異な視覚認識の特性(被視認識)をいかにすればうまく模倣できるかということを検討することに相当する. 被視認識の実現方法は大きく分けて,以下の2通りが考えられる.1)黒目の輪郭形状のみから視線方向を求める.2)黒目と鼻や輪郭などの相対的位置関係から視線方向を求める.本研究では,これら両者に関して比較検討を行い,後半では特に個人性の変化に対する適応性について研究を行った.前者の方式では,視線方向の推定と,個人性パラメータの推定を交互に行うことによって,約5秒間の画像から眼球の大きさや間隔など個人性パラメータの推定を行なうことができ,特別に学習等を行なうことなく高精度に視線方向の推定が行える手法を確立した.また,後者の方式に関しては,非線形写像学習器PaLm-treeを用いて黒目重心位置,目頭,目尻,鼻の位置から視線方向を推定するアルゴリズムを開発した.このシステムを用いた実験結果から,個人適応のためには膨大な学習データが必要であることと,特に上下方向の視線推定精度がさほど高くないことを確認した.また,3)視線方向を推定する人物が移動した際に能動カメラを用いて追跡するための方法,4)視線方向から実際にその人物がカメラの方向を向いているか否かを判定するために必要となる識別方法についても検討を行なった.3)については,2次元画像座標と色の3要素によって張られる5次元空間内で対象と非対象の画素をクラスタリングするk-means Trackerを提案,拡張し,最終的にクラスタリングの信頼度を利用するRk-meansアルゴリズムの開発を行なった.一方,二者択一的な判断を行なう最近傍識別を拡張し,対象画素の識別のしやすさの度合いを表す弁別度を用いた対象追跡アルゴリズムの開発も行った.さらに,この弁別度を用いた実時間能動ステレオシステムおよびk-means Trackerを用いた能動追跡システムなどのシステムの構築も行なった.4)の問題については,多種多様な問題に対して柔軟に対応できるノンパラメトリック識別器の一つである最近傍識別器を高速化したk-d decision treeアルゴリズムの一般化,および,最近傍探索アルゴリズムの高速化を行なった.
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