配分額 *注記 |
49,400千円 (直接経費: 38,000千円、間接経費: 11,400千円)
2007年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2006年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2005年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2004年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,音声の韻律情報の中から時間的側面に焦点を絞って,人が内的に用いる手がかりを特定し,その使われ方を理解し,人に代わって音声の時間情報の妥当性・自然性を定量的に評価するしくみを作ることであった。要素課題として(I)心理物理レベルの調査,(II)言語レベルの調査,(III)モデルの構築の3段階を設定した。本研究の大きな特徴は,評価対象が言語音声であるにもかかわらず,心理物理レベルの調査にも言語レベルと同等に重きを置いた点であった。たとえ意味が分からない言語であっても早口かどうかは分かることから,音声の時間的側面の処理には言語によらない過程が関わっていると想定できる。そのような言語に依存しない過程を最大限利用することで,言語処理に要するオーバーヘッドが小さく,また多言語への拡張が容易なシステムの基礎となる技術を目指した。主要な成果を以下に示す。 (I)心理物理レベル:聴覚初期家庭の機能を模擬して音声のリズム参照点を検出するアルゴリズムを作成した。言語知識を一切用いないため,適用可能な言語の範囲に事実上制約がないという利点を有する。 (II)言語レベル:日英語母語話者を対象に外国語音声のリズム単位の聞き取りが個別言語で用いられる単位(シラブルやモーラ)に依存することを実証した。これは,外国語学習法における韻律情報の与え方のデザインなどに大きな波及効果を持つ。 (III)モデルの構築:日英語母語話者の英語音声を対象として時間的側面の自然性を自動評価するプロトタイプモデルを構築した。心理物理レベルの調査で得られた聴覚の機能を組み込むことで,英語母語話者の教師による主観的な評価に近づけることができた。これは,音声の妥当性・自然性評価における心理物理特性の重要性を示すとともに,本モデルのしくみが潜在的に持つ言語拡張性の高さを示す。
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