研究課題
基盤研究(A)
海産毒に多く見られるポリ環状エーテル構造とその作用標的生体分子と想定される膜タンパク質との分子認識機構の解明を目的とした本研究の骨子は、(1)同位体など構造情報取得の手掛りが導入可能な有機合成によるリガンド分子の調達、および(2)脂質二重膜内での複合体に関する構造情報取得のための方法論の開発、の二つである。(1)に関して、本研究室で確立したin situヒドロホウ素化/鈴木クロスカップリングによる6員環構築を介したポリ環状エーテルの収束的合成法により調製した5環性エーテルを2つ繋げることで、11〜12環性エーテルの前駆体に相当する化合物を得た。しかしこの段階で繰り返し化学構造による生成物立体構造のNMRによる確定での障害が判明した。そこで冒頭に期した目的も兼ねて合成の際重水素を導入しこの位置の水素核化学シフトを判別可能とすることで立体構造の確定を行うべく、現在ヒドロホウ素化による重水素導入の反応条件を検討している。(2)に関しては、本研究室にて全合成により調達した微量海産ポリ環状エーテルであるガンビエロールより誘導した毒性維持修飾体により神経細胞膜画分との光親和性標識を行った。この結果標識されたタンパク質の消化物に対して質量分析を用いた分析結果をデータベースから探索することでいくつかの既知膜タンパク質を標識タンパクの候補として見出した。本研究は縮環型ポリ環状エーテルの炭素3つを介したエーテル酸素と膜結合タンパク質アルファ螺旋構造との特異的親和性を作業仮説として進めており、後者構造の安定性を指標にした実験によりをこれを前年度までに検証しているが、今回新たに(1)で合成した5環性エーテル2種を用いて同様に親和性を観測したところ、エーテル環の三次元構造における可動性が親和性に寄与しているとの結果を得た。また脂質二重膜モデルではバイセルの物性、およびタンパク質標識技術の方法論の開拓を行った。
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