配分額 *注記 |
49,920千円 (直接経費: 38,400千円、間接経費: 11,520千円)
2006年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2005年度: 19,890千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 4,590千円)
2004年度: 20,930千円 (直接経費: 16,100千円、間接経費: 4,830千円)
|
研究概要 |
放射線による構成塩基の直接的損傷を調べるため、モデル分子として2-アミノ-3-メチルピリジンを対象とし、その窒素および炭素内殻領域での解離を調べた。その結果、特に窒素内殻イオン化が起こる励起エネルギーにおいて、窒素原子周りでの解離が顕著となる特徴的な反応が観察された。この系に対して提唱した解離機構は、2-, 3-, 4-ピコリンを用いた同様の実験によって支持された。 DNA構成塩基のモデル分子として2-アミノピリジン類をとりあげ,紫外光による直接的損傷がどのように生じるのかについて,実験と理論計算から取り組んだ。低温マトリックス赤外分光システムに紫外線照射光学系を組み込み、光反応を追跡したところ,紫外光励起によってアミノ-イミノ互変異性が生じることを明らかにした。 間接的損傷として,活性酸素による核酸塩基の修飾塩基をとりあげた。それらが,どのようなメカニズムでDNA損傷につながるのかを明らかにするために,精度の高い非経験的分子軌道法およびQM/MM法を用いた理論化学計算を行った。突然変異を引き起こす修飾塩基としてよく知られている8-オキソグアニンは,互変異性体の相対的安定性がグアニンとは大きく異なり,このことが突然変異能の一つの原因であることを明らかにした。 DNA塩基の互変異性化に対する溶媒効果については,これまで系統的に調べられていなかった。そこで,様々な溶液中におけるモデル塩基の互変異性化を,赤外分光法と量子化学計算によって調べた。その結果,ピリドンやピリミジミノンおよびそれの誘導体の互変異性は溶媒の極性に大きく依存することを明らかにした。これらの結果は,DNA損傷をもたらす別の要因として,外部環境によるDNA塩基の互変異性化促進が重要であることを示している。
|