配分額 *注記 |
32,760千円 (直接経費: 25,200千円、間接経費: 7,560千円)
2006年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2005年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2004年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
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研究概要 |
有機発光ダイオード(有機EL)やトランジスタに使用されている有機物(NPD, CBP,銅フタロシアニン,Alq3,ペンタセン,PTCDI誘導体,セキシチオフェン,共役高分子,PEDOT-PSSなど)に関して,金属や絶縁体の上に作製した薄膜の単層・多層構造の顕微ラマンスペクトルを,励起光波長532,633,830nmで測定した.また,デバイス動作中のスペクトル測定を行った.その結果,以下の知見を得ることができた.(1)分子配向.有機トランジスタ材料であるペンタセン,銅フタロシアニン,PTCDI誘導体の配向に関する情報を得ることができ,移動度との関連を明らかにした.(2)結晶構造/アモルファス状態の固体構造.NPDなどのホール移動層材料の固体構造を反映するマーカーを明らかにした.有機発光ダイオードの劣化の原因解明に役立つ.(3)温度.銅フタロシアニン,PEDOTの温度をストークス・アンチストークス線の強度比から求めることができ,ガラス表面と有機薄膜の温度に大きな差があることを示した.NPDなどに関して波数シフトから温度を求めることができることを示した.(4)導電性高分子PEDOTのドーピングレベルをラマンスペクトルから得た.デバイス動作によりPEDOTが還元され,デバイス劣化の一因となっていることを示した.(5)化学変化.電極として金の半透膜を使用すると表面増強ラマン効果により,有機物のラマンスペクトルを測定でき,金属と有機物界面の情報を得ることができた.実際の電子デバイスに関して,これらの実験結果とデバイス機能の低下との関係を研究することにより,デバイスの長寿命化に対する基礎的な知見を得ることができると考えられる.また,キャリアのその場観測には赤外分光法を利用するほうがよいことがわかった.有機電子デバイスの研究に赤外・ラマン分光法は非常に有用であることを示した.
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