研究課題/領域番号 |
16255007
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | (財)日本モンキーセンター |
研究代表者 |
西田 利貞 財団法人日本モンキーセンター, 所長 (40011647)
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研究分担者 |
松本 晶子 沖縄大学, 人文学部, 准教授 (80369206)
保坂 和彦 鎌倉女子大学, 児童学部, 准教授 (10360215)
中村 美知夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30322647)
座馬 耕一郎 財団法人日本モンキーセンター, リサーチフェロー (50450234)
佐々木 均 酪農学園大学短期大学部, 教授 (60105252)
藤田 志歩 岐阜大学, 応用生物科学部, 特別研究員
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (40379011)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
30,420千円 (直接経費: 23,400千円、間接経費: 7,020千円)
2006年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2005年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2004年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | チンパンジー / マハレ / 文化 / 新奇行動 / 発達 / 学習 / 覗き込み行動 / Y染色体遺伝子多型 / 父性解析 / マイクロサテライト遺伝子 / 毛づくろい行動 / 腸内細菌 / オオアリ釣り / 毛づくろい / 生殖関連ホルモン |
研究概要 |
文化とされるチンパンジーの地域変異行動の学習・発達過程、伝播経路、習得率や、新奇行動の発生頻度と文化定着率を、タンザニア、マハレ公園のM集団を対象にビデオを用いて調査した。アリ釣りは3歳で始まり、5歳でスキルが向上し、7-8歳で完成する。対角毛づくろい(GHC)も社会的に学習され、相手は5歳頃母親に始まり、次に大人雌、9歳頃に年長雄となり、認知的に困難とされる道具行動より遅れて出現する。多くの文化行動は5歳以上のほぼ全員で確認したが、年齢や性に相違のある行動もある:葉の咬みちぎり誇示をしない雌がいる、灌木倒しは雄に限られ、水中投擲や金属壁ドラミングは大人雄のみなど。新奇行動のうち、赤ん坊の首銜え運搬、腹たたき誇示や水鏡行動は少なくとも他の1個体に社会的に伝播したが、まったく伝播しなかった行動もある。腹叩き、飲水用堀棒、乳首押さえなどの新奇行動は、個体レベルでは3-10年続くが、伝播せずに廃れる可能性が高い。一方、スポンジ作りやリーフ・スプーン、葉の口拭き、落葉かき遊びなどの新奇行動を示す個体は次第に増え、社会的学習に基づく流行現象と考えられた。覗き込みは子供の文化習得過程の1つで、採食、毛づくろい、怪我の治療、新生児の世話が覗かれる。年少が年長を覗く傾向は学習説を支持するが、大人の覗き込みは、他の社会的機能も示唆する。親子間や子供同士での食べ残しの利用は、伝統メニューの伝播方法の1つだ。新入雌が直ちに示すGHCなどの行動は、地域個体群の共通文化らしい。移入メスの急速なヒト慣れも、M群の態度を習得する社会化の過程と考えられた。ツチブタ、ヒョウなどM集団が狩猟しない動物の死体を食べないのは、文化の保守的側面であろう。一方、ヒヒがM集団の新メニューに加わる新奇行動の定着例もある。尿・糞によるDNA父子判定によると、子供の半数の父親が第1位雄で、集団外雄が父親になる可能性は低い。父子間の行動の比較が、今後の課題である。Y染色体多型分析から、Mと北集団の雄の祖先共有が示された。収集資料:DVテープ750本、写真1万枚、野帳220冊、骨格3体、昆虫標本900点、尿標本112個、糞標本139個。
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